相続放棄(相続・遺言1)

鹿児島県南九州市川辺町、峠坂洋昭司法書士事務所の峠坂です。雨が多い日が続きます。いかがお過ごしでしょうか。

さて、昨今、相続放棄」のご相談が多いので、簡単にお話をさせていただきます。

一言に遺産放棄するといっても様々な方法があります。父母名義の不動産を兄が相続する旨の遺産分割協議書に弟や妹が印鑑を押す。これも遺産放棄の一つですが、「相続放棄」というのはこれとは異なります。裁判所に父の相続財産を一切承継しない旨の申述書を提出し、裁判所に認めてもらう手続きです。あの土地売れないから遺産放棄したけど、預貯金はあっても困らないからもらったの。トヨタの株は兄に譲ったが、JGB既発債○○は安定していたから私がもらったの。こういう個別の資産の放棄(選択)は相続放棄ではありません。単なる遺産分割です。

相続放棄の最大のメリットは被相続人(父母や祖父母)の債務がいくらあるかわからないときに、被相続人のかわりに債務を返済しなければならなくなる事態を防止することにあります。分割協議書に印鑑を押した後、突然、被相続人の債権者から多額の未払い金の請求を受けたなんて話がないわけではありません。借金を回避する相続の仕方とご理解していただけばと思います。

他にも「限定承認などという被相続人の資産の中から借金を返済し、余った資産部分だけ相続するという方法もございますが、使い勝手が悪く、手続きも迂遠であるため、用いられないことが多いです。相続放棄は日本全国で年間15万件ほどの申し立てがあるのに対して、限定承認はわずか1000件足らずです。

相続放棄は相続開始を相続人が知った時から3か月以内という決まりになっておりますが、裁判所に期間伸長」の申し立てをすることができます。被相続人が亡くなってから3か月経過した後も、理由を裁判所に認めていただければ相続放棄ができます。被相続人がお亡くなりになった後、3か月経過した後でもあきらめずに最寄りの法律事務所または司法書士事務所にご相談ください

司法書士・行政書士  峠坂洋昭
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