事務局の力(2)議事録の作成方法(PART1 総会議事録の記載事項)

こんばんわ。峠坂です。もう4月ですが寒暖の差が大きな日が続きます。雨が降っていますね。孟浩然「夜来風雨の声」でしょうか。

さて、本日は事務局の力(2)と題して【議事録の作成方法(PART1 総会議事録の記載事項)】をお話しさせていただきます。

仕事柄、当職は様々な事務局の方とお話しする機会があります。総務部が整備された会社組織の事務局、家族経営の会社組織の事務局、非営利組織の事務局、任意団体の事務局。事務局の担う事務の深さ、ボリュームは実に様々です。

今回は組織の事務を少人数(または実質一人)で担っている事務局の方を念頭にお話しさせていただきます。

前回お話しさせていただいたとおり、議事録という形式の文書は書き方が会社法に基づく法務省令で決まっているものであります(会社法施行規則第72条)。

まず、会議のタイトル。

ご自身の所属されている組織構成を確認ください(株式会社、有限会社、合同会社、NPO、〇〇組合)。組織構成ごとに議事録のタイトルが決まっています。また、組織ごとにどのような機関(取締役会、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人)を設置するかに企業には自由が認められています。詳細はご自身の所属される組織の定款をご確認ください。

例 株式会社 ⇒ 株主総会議事録 取締役会議事録(取締役の互選書)

(注意 取締役会が存在しない会社もあります)

例 有限会社⇒株主総会議事録 取締役の互選書

例 NPO⇒社員総会議事録 理事会議事録

例 社会福祉法人⇒評議員会議事録 理事会議事録

例 宗教法人⇒総代会議事録 責任役員会議事録

例 学校法人⇒評議員会議事録 理事会議事録

例 〇〇協同組合⇒総会議事録 理事会議事録

例 農事組合法人⇒総会議事録 理事の決定書

例 医療法人⇒社員総会議事録 理事会議事録

また、株主総会(社員総会)には定時総会と臨時総会があります。事業年度明けの決算承認を伴うものが定時総会(例 H29年4月~H30年3月の収支決算が翌年のH30年5月、6月頃にあります)。それ以外に随時行うものが臨時総会となります。定款で事業年度の締め(何月決算か)をご確認ください。

取締役会(役員会 理事会)には時期は定められておりませんので、理事会が開かれた度に作成することになります。

次に、議事録にはいったい何を書けばいいのかということなんですが、これは会社法に基づく法務省令よって決められております。

①「株主総会が開催された日時及び場所(会議場所に存在しない取締役・・・・や株主が株主総会に出席した場合における当該出席の方法を含む)」(72条3項1号)

総会の開かせた開催日時、場所を記載しましょう。「日時」とありますので総会開始時刻と終了時刻も記載してください。場所については本店会議室との記載が多いです。また、総会に出席した株主の数、委任状出席者数も記載事項となります。会議の発言権(票)の母数を明らかにする意味があります。専門用語で【定足数】といいます。

②「株主総会の議事の経過の要領及びその結果」(72条3項2号)

第〇号議案

〇〇について議長が議場に諮ったところ、出席者の満場一致をもって承認可決された。

とのフレーズがこれにあたります。

反対者が出たときは何票差で可決された旨も記載ください。票の数え方は株主総会は1株について1個の議決権があります(単元株制度がある場合は除く)。取締役会は取締役一人につき1票です。

③「監査役、会計参与等の意見及びその発言の内容の概要」(72条3項3号)

違法行為抑止の役割を担う監査役が取締役会に出席した場合などに記載するものです。重大な懸念案件で監査役から物言いがついたときに「監査役の意見」として記載するもので、当職が目にした機会はそれほど多くありません。

④「株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役及び会計監査人の氏名または名称」(72条3項4号)

出席した取締役の氏名を記載しましょう。監査役がいる場合も同様です。

⑤「株主総会の議長が存するときは、議長の氏名」(72条3項5号)

議長には通常代表取締役(理事長)がなりますので、議長に選出された代表取締役を記載しましょう。定款に議長の選出方法を定めている場合にはそれに基づき選ばれた旨も記載しましょう。

⑥「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」(72条3項6号)

議事録作成者となった取締役の名前を記載しましょう。

株主総会(社員総会)の議事録は①~⑥を記載すればよいことになります。

以上が、どの組織にも共通する総会議事録(株主総会 社員総会)の作成方法です。テンプレートはネットでも取得できるので、参考にしてみてください。詳細は事務所までお気軽にお問い合わせください。